認知症緩和ケア理念とは

2002年、WHO(世界保健機構)では、「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して疾患の早期より、痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな(霊的な・魂の)問題に関してきちんとした評価を行ない、それが障害とならないように予防したり対処したりすることでクオリティー・オブ・ライフ(=QOL:生活の質、生命の質)を改善する為のアプローチである」と定義しました。

認知症は、脳の神経組織が障害されることによっておこる病気で、現代医学では治すことができないと言われています。認知症緩和ケア理念とは、現代医学では治すことが不可能な認知症にいかにして取り組むかその理念のことを指します。

認知症緩和ケア理念の始まり

認知症緩和ケア理念という言葉は、財団法人シルヴィアホームで始まりました。

財団法人シルヴィアホームは、1996年2月14日にシルヴィア王妃とバルベロ・ベック-フリース教授によって創設された財団です。そこでは、認知症の人へ質の高い、尊厳に満ちた人生を可能とする、優れたケアを提供することを目標に、アンダーナースに認知症の専門知識とケアの実践能力を身に付けることを目的に教育を行っています。ここでの教育は、WHO(世界保健機構)で定義された「緩和ケア」を基にした認知症緩和ケアです。緩和=パリアティプは、ラテン語の「パリウム(Pallium)」に由来する言葉で、「マント」という意味があります。緩和ケア理念とは1つのマントで認知症の人とその家族をすっぽりと包んでしまう全人的ケアです。認知症緩和ケアとは、認知症を患ったそのときから、緩和ケア理念である「症状コントロール」、「チームワーク」、「家族支援」、「コミュニケーションと関係」の4本の柱で実施されます。
認知症ケアに「緩和ケア理念」を取り入れ、啓蒙活動しているのが、財団法人シルヴィアホームです。

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